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無料英文チェッカーの比較: Ginger vs Wordvice AI

オンライン上で利用できる無料文法チェッカーが多数ある中、自分のニーズに一番適した校正ソフトを見つけ出すのは容易ではありません。ここでは、Wordvice AIとGingerという2つの無料ライティング支援ツールの機能および性能を比較していきます。

Wordvice AIは、学術文章向けに最適化されたAIライティングツールです。英文校正・編集を世界で手掛けるワードバイス社がリリースしたこのツールには、いくつもの高度な機能が備わっています。すべての編集ツールとモードへのアクセスを含むプレミアムプランを提供していますが、このツールの主な機能の多くはアカウント登録だけで誰でも無料で使用できます。 一方Gingerは、2008年にリリースされた老舗といえるオンライン校正アプリです。どちらのツールが自分により適しているのかを知るためにも読み進めていってください。

目次:

  1. 機能の比較
  2. 校正結果の比較
  3. 人間による編集サービスオプション

機能の比較

Wordvice AIとGingerの最も明らかな違いは、それぞれのユーザーインターフェースと機能に見られます。

インターフェース

Wordvice AIおよびGinger grammar checkerのメイン校正ページにはどちらも、校正してほしい文をタイプ入力またはコピペ入力できるテキストボックスがありますが、レイアウトに若干の違いがあります。

wordvice AIメインページ

Wordvice AIのインターフェイス見やすいように設計されており、ページ上部やサイドバーにメニューオプションやコンテンツがあります。また、全体をはっきりと見ることができるテキストフィールドと、ユーザーは5 つの編集ツール (AI英文チェッカー、AIパラフレーズツール、AI英語文章要約ツール、AIオンライン翻訳ツール、AI剽窃チェッカー)を各メニュータブより選択できます。各ページにネイティブの専門家による英文校正・日英翻訳サービスについてのリンクもございます。

Gingerメインページ

Gingerのメインページにはタイトルバーはありませんが、テキストボックス右上で英語のタイプを選択できるようになっています。テキストボックス周りにはプロモーション用リンクや関連コンテンツのリンクが表示されるため、インターフェースが少々ゴチャゴチャしている印象をを与えます。

フィードバックボックス

Wordvice AI校正ツール、Gingerソフトのどちらにもフィードバックボックスがあり、文中で見つかったエラーの訂正方法が提示されます。

wordvice AIフィードバックボックス

Wordvice AIのフィードボックスはすべてページ右側に表示されます。フィードボックス自体をクリックするか、または文中で下線が引かれたエラーをクリックすると確認したいフィードバックボックスが開きます。各フィードボックスにはエラーの訂正方法が表示されるだけでなく、エラーの種類に関する簡略な説明もされています。

Gingerフィードバック

Gingerには独立したフィードボックスがありません。下線の引かれたエラー上にカーソルを合わせると提案された修正が見られます。Wordvice AIとは異なり、Gingerのフィードボックスには追加説明はなく、訂正事項のみが表示されます。Wordvice AIとGingerとの目立った相違点は他にもあります。Wordvice AIは、ユーザーが修正提案を「承諾(accept)」もしくは「拒否(ignore)」できるようになっています。その一方Gingerはツールがエラーを修正しますが、もし元に戻したい場合には、ユーザー自身がその訂正の「取り消し(undo)」を選択するようになっています。

ファイルのアップロードおよび保存

Wordvice AI にテキストを入力する方法は2 つあります。文章をテキストボックスに直接入力する方法と、ドキュメントファイルをアップロードする方法です。 英文チェッカーの場合、 Microsoft Word 文書にテキストをアップロードすると、テキストエディターが文書の内容をテキストフィールドに移し、すべてのエラーを識別します。

オンライン文法チェッカーによる校正が終わった修正済ファイルを何らかの方法で保存したいのではないでしょうか。Wordvice AIは修正済ファイルを各ユーザーのアカウントに自動的に保存します。以前に作成したファイルも「My Documents」から取り出すことができます。テキストボックス右下にあるダウンロードアイコンをクリックすると、ファイルをMicrosoft Wordファイルとして保存できます。上記どちらの機能もGingerには付いていません。

Wordvice AIダウンロード&アップロードボタン

アドオンおよびライブ即時修正

Wordvice AI と Ginger のサイトにはダウンロード オプションがありませんが、Ginger は Microsoft Office と Chrome といった各種ブラウザーへのアドオンが可能になっています。Ginger には Windows と Mac、および Chrome や Edge などのさまざまなブラウザ用のオプションもあります。 これらのアドオンは、ブラウザ上で電子メールやソーシャル メディアの投稿を入力する際に、Ginger からのライブ修正が受けられます。iOSとAndroid向けGinger Writer、そしてAndroid用Ginger Keyboardもあります。一方、Wordvice AIは現時点ではアドオン機能が使えませんが、便利な新機能が常にアップデートされており、アドオン機能も近いうちに追加される可能性があります。

音声による文字入力機能

Wordvice AIのもう一つの便利な機能が、英語の発話を文字に変換してくれる音声文字入力機能です。テキストボックス右上にあるマイクアイコンをクリックするとこの機能が使用できます。Gingerソフトや他のほとんどの文法チェッカーには音声による文字入力機能が装備されていませんが、英語非ネイティブの方がセンテンスの読み方や発音の正確さをチェックしたい場合にもこの機能は大変便利です。

英語のタイプ

英語には主にアメリカ英語とイギリス英語の2種類があります。両者は大部分で同じですが、一部のスペリングと句読点に関するルールが異なります。Gingerは英語タイプを選択できる一方、Wordvice AIのデフォルト設定はアメリカ英語となっていて、現時点ではイギリス英語の選択肢は用意されていません。ただしWordvice AIの機能は頻繁にアップデートされているため、近い将来にはイギリス英語の選択も可能となる見込みです。

校正結果の比較

文法チェッカーを選ぶ上で確認すべき最も重要な局面は校正結果の正確さです。

スペリング

文法チェッカーが感知できる最も基本的エラーがスペリングミスです。Wordvice AIとGingerがそれぞれスペリングミスをどのように検出するかを確かめるため、両ツールに以下のセンテンスを入力しました。

“To help author correct misspelled worrds punctuation errors, and other writing issues, use this handy tool that it gives you the power to improve your vocabularies while fixing the basic writing issues.”

上記センテンス中のスペリングエラーは「worrds」です。

Wordvice AIスペル修正

上図からわかるように、Wordvice AIは「worrds」を「words」に正確に訂正しました。

Gingerスペル修正

Gingerもこのスペリングミスを直しましたが、「worrds」から「word」への変更でした。「word」はスペル的には正しいのですが、この文脈では「words」という複数形が正しいため、「worrds」を「word」へと変えると別のエラーが生じてしまいます。

冠詞

冠詞エラーに関するWordvice AIとGingerの扱い方を比べるため、両ツールに以下のセンテンスを入力しました。

“This proofreading tool works for all kinds of the documents: academic papers, emails, work reports, resumes, and any other documents with which writers tend to make mistakes.”

センテンス第一節目に次のような冠詞エラーがあります。 「the documents」は、正しくは「documents」であるべきです。ここでは冠詞「the」は必要ありません。

Wordvice AI 文章修正

Wordvice AIは上記箇所を正しく修正しています。

Ginger文章修正

それに対してGingerは上記センテンスからは一切のエラーを検出していません。

主語と動詞の一致

主語と動詞の不一致に関しては、Wordvice AIとGinger の両者とも正しく検知できました。

“Our AI proofreading tool identify common errors in grammar, spelling, punctuation, and capitalization.”

「AI proofreading tool」が単数名詞であるため、上記の「identify」は正しくは「identifies」であるべきです。下図を見ればわかるように、Wordvice AIとGingerの両者とも正確に修正しています。

Wordvice AI主語と動詞の対応のエラー修正

Ginger主語と動詞の対応のエラー修正

動詞の時制

時制に関しては少々注意が必要な点があります。学術論文では、途中で時制が変わるケースもよくあるため、特に気を付けなければなりません。

“While you’re preparing your work for submission, why not be using an automatic free app that saves you time and helps you write like a professional writer?

下図からわかる通り、Wordvice AIはエラーである「be using」を「use」へと正しく変更できていますが、Gingerは時制に関するエラーをまったく検出できませんでした。

Wordvice AI動詞の時制のエラー修正

Ginger動詞の時制のエラー修正

ランオンセンテンス(Run-on sentence)

ランオンセンテンス(run-on sentence)は、正しく区切られていない2つの独立節から成っています。

“Many authors make mistakes with their writing it can be difficult for them to identify the issues with their own writing.”

上記は「many authors make mistakes with their writing」という1節と、「it can be difficult for them to identify issues with their own writing」という別の1節が、本来であれば(1)カンマと接続詞(2)セミコロン(3)ピリオドのいずれかを用いて区切られているべきです。

Wordvice AI無終止文の修正

Wordvice AIは上記ランオンセンテンスを2つの独立したセンテンスに区切る形で修正しました。

Ginger無終止文の修正

一方のGingerは、ランオンセンテンスを感知できませんでした

類似する単語との混同

英語には発音、そして時には綴りまでもがそっくりな単語が多数あります。「effect」と「affect」という2つの単語はよく混同して使われています。

“A limited vocabulary can negatively effect your writing.”

「effect」という動詞は「何かをもたらす」という意味です。ここで正しくは「~に作用する」意味の「affect」という単語が使われるべきです。Wordvice AIとGingerのどちらもこのエラー修正しました。

Wordvice AI単語の修正

Ginger単語の修正

冗長な文

オンライン校正ツールにはただ基本的な文法エラーを修正する以上の機能も備わっています。例えば冗長さのような、文体に関する問題点を避けるためのアドバイスも提供できます。冗長なセンテンスとは、必要以上にくどい言い回しの文を指します。センテンスの冗長さをWordvice AIとGingerがそれぞれどのように扱うのかを検証するために、以下のセンテンスを両ツールに入力しました。

“For all intents and purposes, the reason his writing was poor was due to the fact that he did not write sufficiently often.”

Wordvice AI冗長な文の修正

上図で見られるように、Wordvice AIは「due to the fact that」を「because」に変えることで、センテンスの冗長さを解消しました。

Ginger冗長な文の修正

一方Gingerはこのセンテンスを冗長だと認識しませんでした

人間による編集サービスオプション

論文の下書きや執筆初期段階において無料オンライン文法チェッカーは大変便利ですが、最終的にはプロ編集者による総合的な見直しを希望する場合もあるでしょう。Wordvice AIの画面下部の「Proofread Now」ボタンの隣に、プロによる英文校正サービスである「専門家の校正を受ける」が選べるオプションが提供されています。ここをクリックすると、執筆した論文が送信され、該当する分野で経験豊富な、学術論文編集の専門家による見直しが受けられます。