AIやChatGPTを使ってパーソナルステートメントを書く方法
パーソナルステートメントとは?
パーソナルステートメント、またはパーソナルエッセイとは、大学、仕事、奨学金や研究助成金への出願・応募書類に添付する文書です。出願者自身の人柄、経歴、経験、目標、そして将来の願望等の情報を読み手と共有するアプリケーションエッセイです。アドミッション委員会に、自分の個人的・学術的興味、成績・業績、そしてその学業分野を選んだ理由等を説明するために提出します。
さらに、パーソナルステートメントには、求職者の場合は自身の持っているスキルや職務経験、学生の場合には学業上の目標達成に奨学金が必要である経済的理由、そして研究者の場合には研究課題と、その成果の将来的な影響を明確に説明する役目もあります。そのため、パーソナルステートメントに書く内容はよく吟味し、何を目的として、誰が読むのかを念頭に置いて簡潔に作成することが重要です。また、成績表や履歴書に書かれた内容以上の、その人の人柄を含めた総合的な情報を読み手に与え、他の候補者との差別化を図れる機会でもあります。
ChatGPT等のAIツールにパーソナルステートメントを書いてもらっても大丈夫?
簡単に言えばNoです。自分のアプリケーションエッセイは、AIパーソナルステートメント生成ツールに書かせるべきではありません。でもなぜダメなんでしょうか?最大の理由は、アドミッション委員会や奨学金審査事務局は、AIツールに丸投げして生成された文をそのままアプリケーションにコピペする行為を、盗作または不正行為とみなす場合があるからです。その結果、選考の上でマイナスに影響します。
別の理由は、AIが生成したパーソナルステートメントをアプリケーションに貼りつけたら、それは全くパーソナルではなくなるからです。AIが生成する内容というのは、それまでに蓄積された様々なパターンやデータに基づいていることから、出願者自身の独自の経験、意欲や個性は全く反映させられません。例えば、ロースクールへ出願するパーソナルステートメントを、ChatGPTに書かせると、以下のような文章がアウトプットされてきます。
見てわかる通り、上記のステートメントは形式的によく書けてはいるものの、内容がスカスカです。ここに書かれているのは、弁護士を目指す人が書きそうないくつかのキーワードを並べた陳腐な内容です。アドミッション委員会が本当に知りたいのは、出願者の「法に対する情熱」の根拠となるものです。親族の法学者に感化されたのか?それとも、家族が不当な扱いに苦しんでいるので、自分が法律家になることで、苦しむ家族を救いたいのか?ChatGPTはそんな事情は全く知らないので、エッセイに個人的なエピソードを加えたり、内容にその人の人間性を表すこともできません。
また、アプリケーションに関する具体的な状況や条件もAIツールには理解できません。そのため、的外れだったり、不適切な内容を生成する場合もあります。そんな見当違いな内容のエッセイを提出した場合、あなたのアプリケーションが選考の早い段階ではじかれてしまう可能性にもつながります。
しかし、ステートメントの素案となるアイデアの生成、文法、文章フロー、文体の添削といった場面では、AIツールはもちろん役に立ちます。
パーソナルステートメントを書く時のChatGPTやAIツール活用方法
ChatGPTや他のAIツールは、アイデアの生成、ステートメント原稿の作成、見直し作業に活用できます。出願大学や研究助成金提供組織が定めるAIアシスタンスの取入れに関するルールや規則をまず確認し、必要な場合にはそれらの使用を正直に申告しましょう。また、アプリケーション提出前には、教師やメンターといった方の、人間目線によるフィードバックを受けられればさらに望ましいでしょう。
1. ChatGPTを使ってパーソナルステートメント原稿の個性化を図る
AIパーソナルステートメントライターを使って、自分のことが何一つ書かれていない平凡なステートメントを作成する代わりに、何から書いたらいいのかわからなくて悩んでいる時には、ChatGPTに、自身の個性を探らせます。まず、チャットボットに自分の履歴書を与え、自身に関する興味深い点や特筆すべき詳細を抽出させます。ChatGPTは、この種のエッセイを含む膨大な量の過去データで訓練されているので、あなたを他の候補者の中から突出させられるよう、有益なアイデアを探し出すことには長けています。
2. パーソナルステートメントの概要を書いてChatGPT等のAIツールに詳細部分のライティングは任せる
もしライティングに対する実践的なヘルプが要る場合は、ステートメントに載せたい自分の側面に関する概要(箇条書きでもよい)をChatGPTや他の同様なチャットボットに与え、それら事項をスムーズに繋げたセンテンスを作成するよう指示します。その際、ChatGPTは、情報が抜けている部分を勝手に創作しがちなので、正確に書けているかどうかは自身で必ずチェックして、自分の言葉で書けていると思えるまで、何度も文に手を入れます。
3. AIツールを活用しながら原稿を編集・パラフレーズする
ライティングの添削や改善のヘルプを望んでいる場合には、ChatGPT(どちらかというとオールラウンドなツール)よりもそれら作業により特化したツールがあります。例えばWordviceのAIライティングアシスタントツールは、ChatGPTと比較すると、人間によるインプットに頼る場面がより多いため、AIツール使用に伴う倫理的ジレンマを回避できます。例えば、まず自力でステートメント原稿を作成してからAI英文チェッカー、AI言い換えツール、AI英語文章要約サイト を使うと、文法が添削してもらえ、文の明確さやフローも改善できます。
AIを使ったパーソナルステートメントの実例
以下は、異なるタイプの出願先・目的で書かれたパーソナルステートメントのいくつかの例です。ChatGPTや他のAIツールがこれらをどのように改善できるかを見ていきます。
AIを使った一般的なアプリケーション用パーソナルステートメントの例
大学入学審査に使われる一般的なアプリケーションの一環であるpersonal statementの課題文として、以下の設問を選んだ場合:
What challenges/obstacles have you faced? How have they influenced your personal growth? (これまでにあなたが直面した問題や障害となった事項について書いてください。また、それらは、あなた自身の成長にどのような影響を与えましたか?)
AIロボットは上記のような設問に対して一般的な回答しか書けませんが、実際には独自の体験を反映したステートメント内容が期待されています。そのため、エッセイに盛り込みたい重要事項の詳細をリストにし、それら点を繋ぎ合わせてセンテンスを構成します。例えば、「6歳の時に韓国からアメリカに移住してきて、現地の学校に通いながら英語も勉強しなければならなかった経験が、どのように自分に強さと自立心を与えたのか」についてChatGPTに説明を求めると、以下のように返ってきます。
この原稿をベースに、自身に関する詳細情報をさらに加え、自分が書いたように思えるまで修正を重ねていきます。
AIを使ったメディカルスクール用のパーソナルステートメントの例
メディカルスクールのアドミッション委員会は、出願者の志望動機を理解し、将来その人が医学分野に貢献できる可能性を判断したいと思っています。家族の病気をきっかけに、病気で苦しむ患者を救うために医者なりたいというのが、よくある志望時のひとつで、下記の例はそれを反映したステートメントです。
Title: A Journey of Compassion and Determination (思いやりと決断力を実現するために)
Growing up, I witnessed the profound impact of multiple sclerosis (MS) firsthand as my grandmother battled this poorly understood disease. Her struggle to find effective treatment and support left an indelible mark on my heart and ignited my passion for medicine. (多発性硬化症(MS)が患者に及ぼす影響の甚大さを子供時代から身をもって体験してきた。私の祖母がこの未だよく解明されていない病気を発症した。効果的な治療方法やサポートに出会うため様々な困難に直面する姿は、私の心に深く刻まれ、それが医療に情熱を抱くきっかけとなった。)
In those challenging times, I became her advocate, accompanying her to countless doctor's appointments and researching treatments. My role as a source of comfort and information revealed to me the power of empathy and the need for more compassionate, patient-centered care. (祖母が病気と闘っていた間、私は祖母の助けとなれるよう、病院での治療には幾度となく付き添い、治療法を探したりもした。祖母の心身の支えとして、そして情報提供者としての私の役目は、共感力の重要さに目覚めさせてくれ、より患者の立場に立ったケアの必要性を実感できた。)
This experience drives my unwavering desire to become a doctor. I aspire to bridge the gap between science and humanity, to provide answers and solace to families facing medical uncertainties, just as I did for my grandmother. (この経験が私が医者になりたい気持ちを確固なものにした。科学と人道との間にある溝を埋め、私が祖母にしたと同じように、医療に不安を感じている家族に対して、疑問に答え、心の安定を与えられるようになりたい。)
I am committed to advancing our understanding of complex diseases like MS and ensuring equitable access to healthcare. My journey alongside my grandmother has shown me that medicine is not just a profession; it is a calling to alleviate suffering and bring hope. (MSをはじめとした複雑な病気についてさらなる解明を継続し、だれもが公平に医療サービスを受けられるよう働きかけていく覚悟でいる。祖母と一緒に病気と闘ってきた経験を通して、医療とは単なる職業ではなく、苦痛を和らげ、希望をもたらす使命を背負っていると実感した。)
As I embark on this journey to medical school, I carry with me the lessons of empathy, determination, and the profound impact of compassionate care. My goal is to make a meaningful difference in the lives of patients, just as medicine has done for my family. (メディカルスクールに入学したら、共感と決断から得た思いを持ち続け、思いやりあるケアを実践できるようになりたい。私の家族が医学で救われたように、今度は自分が患者の人生を意義あるものに変えていけることが私の目指すところである。)
しかし、自分の過去に起こった出来事を反映させながら、その一部を具体的な目的に合うよう再編成していると、記憶がごちゃ混ぜになり、読み手に意図がはっきり伝わる形で論理的な文章フローが形成できているかどうか判断がつかなくなりがちです。
Wordvice AIサマライズツールは、このような状況時に手を差し伸べてくれます。このツールは、メディカルスクールに提出するパーソナルステートメント上のパラグラフ間の論理的な連結と、全体的な論理フローをチェックしてくれます。自分の書いたステートメントを左側のボックスにコピペし、「Summarize」をクリックすると、AIが主要点の箇条書きリストを作成します。
The author witnessed the impact of multiple sclerosis (MS) on their grandmother (筆者は多発性硬化症が祖母に及ぼした影響を身をもって体験した)
They accompanied her to appointments and researched treatments. (祖母の病院での診察に付き添い、治療法のリサーチもした)
This taught them the power of empathy and need for compassionate, patient-centered care (この経験が、患者への思いやり、そして患者に寄り添ったケアの必要性を考えるきっかけとなった)
The author's goal is to become a doctor and bridge the gap between science and humanity (筆者が目指すのは、医者になって、科学と人道との間にあるギャップを埋めること)
They want to provide answers and solace to families facing medical uncertainties (医療に不安を感じている家族に対し、疑問に答え、心の安定を与えたい)
They believe medicine is a calling to alleviate suffering and bring hope. (医療とは苦痛を和らげ、希望を運ぶ使命を背負っていると信じている)
Their goal is to make a difference in the lives of patients, as medicine has done for their family (医療が患者の家族にしてくれたように、患者の生活をより良く変えられることが目標)
このように、文章全体の流れと、ポイント間・パラグラフ間のつながりが簡単に確認でき、必要に応じた内容の追加や削除が可能になります。
AIレジュメ・パーソナルステートメントの例
レジュメ・パーソナルステートメント、またはキャリアサマリーとは、履歴書の冒頭部分で、自分の資格や資質、スキル、キャリア目標を手短に紹介するセクションです。将来の雇用主に興味を持ってもらうことが一番の目的であるため、この短いステートメントを読めば自分の魅力を最大限に知ってもらえるよう簡潔で読み易く書くことが重要です。AI英文チェックツールは、ステートメントライティングの最終仕上げ作業をアシストしてくれます。ステートメント文を左側のボックスに貼りつけ、修正レベル(light - standard - intensive – concise)を選択します。エラー表示が出たら、それををクリックしてフィードバックを読んだうえで修正します。
AIツールと人間による編集サービスの両方を取り入れたパーソナルステートメントの作成
ここまでに紹介したテクニックを参考に、AIツールを最大限に活用すればステートメントは仕上がりますが、提出前に人間のプロ編集者に見てもらうことで、さらなる改善が望めます。ワードバイスのプロによる英文校正サービス、特にStatement of Purpose添削サービスを利用すれば、文章に一層磨きがかかることは間違いありません。