剽窃を回避するためのポイント(論文/エッセイ)
デジタル化が進み、ネット上のコンテンツのコピペやAIツールへのアクセスが容易になった現代社会において、学界では剽窃行為が非常に大きな問題となっています。これらのITやAI技術の発展は、論文の執筆者やクリエイターにとっては役立つ一方で、学生や研究者が気づかない内に(もしくは意図的に)剽窃行為を行ってしまう可能性も高くなりました。
剽窃は度々扱われる問題であり、”剽窃の避け方”は毎月インターネット上で何千回も検索されています。論文の学術的な誠実性とオリジナリティを保つためには、剽窃を効果的に回避する上でのストラテジーを適用することが重要です。この記事では、適切な引用の仕方から剽窃チェッカーの使い方まで、研究論文やエッセイの信憑性を保つための様々な方法について詳しく説明します。
論文における剽窃とは?
剽窃とは、他人の著作やアイデアを適切な謝意無しに、自らの作品として発表する行為を指します。例えば、学術論文やエッセイ課題において、文章をそのままコピペしたり、引用や出典元を明記せずに文章を言い換えて使用する行為も剽窃にあたります。
まずは、どのような行為が剽窃に該当するのかということを理解することが剽窃行為を避ける第一歩となります。また、剽窃を避け、論文の倫理性と信憑性を保つ上では、著者を明記する事の重要性を理解し、引用文献のガイドラインを遵守することが重要です。
剽窃を回避すべき理由
剽窃は、学界や職場において深刻な影響をもたらす可能性があります。下記に示した剽窃行為に対する処分の例をご覧になっていただくことで、剽窃を回避することの重要性を感じていただけるかと思います。
剽窃が発覚した場合の処分の例
- 学校からの懲戒処分: 通常、剽窃が発覚した場合、全科目無効や、停学、時には退学処分を含む、厳しい罰則が課せられます。
- 評価への悪影響: 周囲からの評価が低下し、学術界からの信頼を失ない、その後の学術研究や論文の執筆にネガティブな影響を与えるリスクがあります。
- 法的制裁: 剽窃は原著作者や出版社から法的措置を取られる可能性もあり、その結果、罰金や法的処罰を科せられる可能性もあります。
- 学習機会の減少: 剽窃は、学生から批判的思考力(クリティカルシンキング)や文章力を強化する機会を奪い、学習機会を損ないます。
これらの事態を理解し、適切な引用文献の記述と剽窃チェックツールを使用するなど、剽窃を回避する様々な方法を適用することで、研究者や学生たちは自らの文書の信憑性を保ちつつ、文章力や論理的思考力を鍛えていくべきです。
重要ポイント: どのような場合でも剽窃はしない!
研究論文やエッセイにおいて剽窃を回避する方法
ここからは、研究論文、授業のエッセイ、入学願書、その他審査または出版される文書において、剽窃を避ける方法を詳しく説明します。本題に入る前に、今回ご紹介する剽窃を回避するためのコツは完璧ではなく、意図的に剽窃を行うべきではないという事に留意してください。結局のところ、自分の文書における剽窃を回避することができるのは自分自身だけであるため、作者は、他人の作品を自身の作品と偽わる事のないよう慎重になる必要があります。
1. 参考文献リストで学術情報の出典元を整理
アカデミック・インテグリティ(学問的誠実さ)を確保する上での重要なステップとして、論文で使用した全ての出版物をリストアップした参考文献リストの作成が挙げられます。研究論文やエッセイで引用した文書の出典元を細かく記述することで、剽窃を避けることができます。また、参考文献リストを記載することで、原著作者に対する敬意を示すだけでなく、自身の研究課程を明白に書面に残すことが出来ます。
出典元をしっかりと整理し、参考文献を記載することによって、自身の研究の倫理性を証明し、剽窃のリスクを大幅に減らすことができます。参考文献の作成方法は参考文献作成ガイドをご覧ください。
2. 文章内で出典元を引用
文章内で出典元を引用することは、剽窃を回避する上で非常に重要です。適切な引用を行うことで、原著作者への敬意を表し、情報源を読者に示すことができます。学術論文でよく使われる引用スタイルにはAPAスタイル, MLAスタイル, シカゴスタイルなどがあり、それぞれにガイドラインが設けられています。
一般的なアカデミックスタイルの出典の引用
- APAスタイル: 括弧内に著者のラストネームと出版年を表記
例: (Smith, 2020)
- MLAスタイル: 括弧内に著者のラストネームとページ番号を表記
例: (Smith 23)
- シカゴスタイル: 該当する引用元が含まれているページのフットノートかエンドノートに脚注を表記
例: Smith, John. Title of the Book. Publisher, 2020.
情報の出典元をガイドラインに沿って記載することで、自らの文書でない事を明確にし、アカデミック・インテグリティを保つことができます。引用や参考文献の作成には引用・参考文献自動作成ツールをぜひご利用ください。
括弧内引用(parenthetical citations)の使い方
括弧内引用とは出典元を直接文中で記載する方法です。括弧内に簡単な参考文献についての情報を記載することで、情報の出所を明確に示すことができます。既に出版されているジャーナルの括弧内引用を参考にすると、学術文書において剽窃を避ける方法を学ぶのに役立ちます。
括弧内引用での出典元の記載方法
- APAスタイル: 括弧内に著者のラストネームと出版年を表記
例: Research indicates a significant increase in data breaches (Smith, 2020).
- MLAスタイル: 括弧内に著者のラストネームとページ番号を表記
例: The novel's themes are explored in depth (Doe 45).
- シカゴスタイル: 通常括弧内に著者のラストネームと出版年を記載、もしくはフットノートを使用
例: Studies show a positive trend in the data (Johnson 2018).
指定されたスタイルのガイドラインに従った括弧内引用を行うことで、論文やエッセイに剽窃がないよう、明確かつ簡潔に参考文献を表記することができます。
文中での直接引用
文中で直接引用を使うのも剽窃の可能性を未然に防ぐ方法の一つです。出典元から直接引用することで、自身のアイディアと他者のアイデアを明確に区別し、原著作者への敬意を示すことができます。文中で直接引用を行う場合は、引用したテキストを必ずクォーテーションマークで囲まなければなりません。
文中の引用例
- APA スタイルの引用例: As Smith (2020) stated, "Effective management is crucial for organizational success" (p. 15).
- MLA スタイルの引用例: According to Doe, "The significance of early education cannot be overstated" (23).
- シカゴスタイルの引用例: Johnson emphasizes, "The data reveals a consistent pattern over the past decade" (2018, 45).
出典元を文中で引用することで、剽窃を防ぐだけでなく、文献の内容を直接引用して、自分の主張と織り交ぜることで、論文の説得力を高めることができます。
3. 文章の言い換え(パラフレージング)によって剽窃を回避
パラフレージング(言い換え)とは、出典元からの情報を自分の言葉に言い換える行為を指します。しかし、パラフレージングは、出典元のテキストを単に二三言言い換えるということではありません。二三語言い換えたり、テキストの配置を変えただけの文章は剽窃と見なされます。適切な言い換え(パラフレーズ)とは、著者の考えを理解した上で、自分の言葉で嚙み砕いて説明することを指します。
原文
"Deforestation has numerous negative effects on the environment. It leads to habitat loss for many species, contributes to climate change by increasing carbon dioxide levels, and disrupts water cycles" (Smith, 2022).
誤ったパラフレージング(言い換え)
Cutting down forests has many harmful impacts on nature. It causes many species to lose their homes, increases carbon dioxide levels which contributes to climate change, and affects water cycles.
適切なパラフレージング(言い換え)
Smith (2022) explains that deforestation negatively impacts the environment in several ways, including destroying habitats for wildlife, elevating carbon dioxide levels which worsen climate change, and interfering with natural water cycles.
4. 自身のアイデアや主張を取り入れる
自身のアイデアや主張を研究論文に取り入れることは、剽窃を回避し、論文の信憑性を高める効果的な方法です。独自の洞察や見解を展開させることで、ユニークな見解を示しつつ、研究テーマに対する真の理解を読者に示すことができます。
以下は、研究論文の執筆における自身のアイディアや主張の取り入れ方の例です。
- Critical analysis: 出典元からの情報を単に要約するだけではなく、情報を評価し、解釈した後、提示されたデータについての自分の見解を述べる。
- Personal insight: 研究内容と個人的な経験や予備知識を結びつけ、新たな見解を提供する。
- Original arguments: 既存の議論を繰り返すのではなく、自らの分析と情報に基づいた議論を構築する。
下書き後に剽窃を取り除くのではなく、自身のアイデアや主張を取り入れてみましょう。そうすることで、更に興味深く信頼性のある研究論文になり、あなたの聡明さが論文に表れることでしょう。
5. 責任あるAIライティングツールの使用
AIライティングツールはアイデア出しや文書の下書きのための有用なツールですが、剽窃を避けて学術的な信頼性を保つ上で、使用には責任が伴います。
AI校正ツールやAI言い換えツールで文章の改善点を模索したり、AI文法チェッカーで文法を修正したりすることは、まったく正当なことですが、こうした人工知能ツールに過度に依存すると、意図しない盗作や不正行為につながる可能性があります。AIライティングツールはあくまで論文作成の補助的なものとして使用しましょう。
AIツールの責任ある使用方法
- オリジナリティ(Originality): 論文の大半を自身で執筆することが前提であり、AIツールは執筆の質を高めるためのものであり、主張や分析を代わりに行うものではありません。
- 適切な引用(Proper attribution): AIによって生成されたアイディアやテキストを使用する場合、剽窃を避けるためには他の出典元と同様、適切な引用文献の記載が必要です。
- 学術水準の維持(Maintain academic standards): AIツールを責任を持って使用することで、学術的誠実さを示し、研究の信憑性を維持できます。
論文やエッセイに剽窃チェッカーを使う場合
文書に剽窃チェッカーを使用することは、研究論文やエッセイから事前に剽窃を取り除く効果的な方法です。これらのツールは膨大な出典データベースと文書をスキャンし、剽窃と見なされる可能性のあるコンテンツを検出します。剽窃チェッカーは文書内の既存作品と類似している箇所を特定することで、ジャーナルや教授に原稿を提出する前に剽窃の可能性を取り除いてくれます。
剽窃チェッカーの利点:
- 検出(Detection): 見落としがちな既存の文書との類似点を検出します。
- 該当箇所をハイライト(Highlight problem areas): 書き直しや適切な引用を要する箇所を明確に示します。
ここで忘れてはならないのは、剽窃チェッカーは剽窃の可能性を検出することはできますが、該当箇所を修正するかしないかといった最終判断は著者が行うということです。
論文やエッセイから剽窃を取り除く方法
剽窃を取り除き、意図せずコピペになってしまった箇所を検出する効果的な方法がいくつかあります。まず、信頼のおける剽窃チェッカーで文書をスキャンし、剽窃の可能性がある箇所を特定することから始めましょう。問題箇所が検出された場合は、下記の方法で対処することができます。
盗作を削除するための手順:
- 適切な言い換え(Paraphrase properly): 剽窃の可能性があるとされた文章を自分の言葉で書き直し、原文への理解を証明する。
- 引用の使用(Use quotations): 直接引用の場合は、本文を引用符で囲み、適切な引用を行う。
- 全出典元を記載(Cite all sources): 他者のアイデア、引用、データの全てを正しく引用文献に記載する。
繰り返しになりますが、剽窃を未然に防ぐには、自らの主張や意見を述べることが重要です。また、これらは、プロの論文校正サービスの助けを借りれば、いつでも強化することができます。
剽窃チェックの前後にプロの校正を受ける
プロによる英文校正サービスを受けることで、研究論文やエッセイの品質や完成度を高めることができます。経験豊富な校正者が、文中のエラーを見つけ、フィードバックを提供し、アカデミックスタンダードを遵守した文書へと校正します。
剽窃チェック前:
- 論文校正: 学術論文校正サービスによって、文章の明確さや一貫性、全体の流れを改善し、文章を洗練させることで、意図せず行ってしまっていた文書内の盗作や剽窃を見つけやすくなります。
- エッセイの校正: エッセイ校正は、文書内に正しい引用やフォーマットが使われているかを確認し、剽窃のリスクを減少させます。
剽窃チェック後:
- 最終校正: 剽窃チェッカーを使用した後、剽窃の可能性があるとされた箇所を修正し、その部分の校正を専門家に依頼することで、効果的に剽窃を無くすことができます。
エッセイや論文の校正サービスを利用することで、より正確で説得力のある文書を作成することができ、剽窃がないことを確認できるため、ジャーナルへの投稿過程が非常に容易になります。
剽窃回避についてのよくある質問
剽窃を避ける方法や、剽窃を取り除く方法に加えて、その他注意すべき点について、よくある質問を紹介します。
言い換え(パラフレージング)は盗作に該当しますか?
パラフレージングは、正しく行えば剽窃を防ぐのに役立ちます。パラフレーズは、原文を自分の言葉で言い換える事により、原文の内容に対する理解度を示すものです。ただし、適切な引用を行わずに、原文の配置を変えたり、二三言言い換えただけでは剽窃と見なされます。
言い換え(パラフレージング)の例や剽窃を行わずに言い換え(パラフレージング)を行うコツは剽窃を避けるために重要なParaphrasingテクニックに関する記事をご参照下さい。
自分の文書を再使用しても剽窃になりますか?
自身が執筆した文書を再使用する行為も剽窃に該当し、これは自己剽窃と呼ばれます。既に提出、出版/公開済みの自己の文書を引用文献の記載無くして再使用した場合、剽窃と見なされます。たとえ自分自身が作成した文書でも、引用を行ずに別の文書において使用することは不正行為に該当します。
また、自己剽窃は、学術機関からの懲戒処分を含め、他の剽窃と同じ罰則を受ける可能性があります。自身の先行研究を認知し、適切な引用を行うことで学術的誠実性を保ち、自己剽窃を未然に回避することができます。そして、何よりも重要なのは「どんな文章でも盗用・コピペは厳禁!」ということです。
使用した全ての文献の引用を記載するべきですか?
エッセイや研究論文の執筆においては、学術的誠実性を保つために、引用文献の記載に関する規定を熟知する必要があります。一般的に知られていない事実やデータ、証拠、または他人の研究に由来するものについては、出典を引用する必要があります。
下記は出典元の引用に関する規定です。
- 常識 (Common knowledge): 「地球は太陽の周りを回っている」など、広く知られており、議論の余地のない情報は引用を行う必要はありません。
- 特定の事実 (Specific facts): 特定の研究による固有のデータ、統計、発見などの研究結果は引用が必要です。
- 直接引用とパラフレーズ (Direct quotes and paraphrases): 他人の著作物を直接引用したり言い換え(パラフレージング)を行う場合は、必ず出典元を引用する必要があります。
文書内のコピペの量は重要ですか?
剽窃を回避する上で、コピペの量や出典元が不明な文章の量は非常に重要です。しかし、たった一文コピーしてもパラグラフ全体をコピーしても剽窃に変わりはありません。
引用が適切に行われていない場合、少量のコピペであっても剽窃と見なされるため、たとえテキストを直接コピペしているわけではないにしても、他の出典元やコンテンツを参照にする場合は剽窃を回避するための対策を講ずるようにしましょう。
剽窃が発覚した際の処罰にはどのような物がありますか?
上記で述べたように、剽窃は、学術、研究、専門分野の執筆を含めた様々な分野で深刻な結果をもたらす可能性があります。剽窃がもたらす影響を理解することで、倫理基準に基づき、剽窃を回避することの重要性を感じることができます。
様々な領域での剽窃に対する処罰例:
- 学術的な処分: 教育機関においては、剽窃は落第、停学、時には退学処分に繋がる事があります。
- 専門分野における評判の低下: 職場では、剽窃は退職処分に繋がったり、自身の評価を下げてしまうことがあります。
- 法的制裁: 出版されている書籍、記事、専門ブログの盗作は、訴訟や罰金、その他の法的措置を科せられる可能性があります。
- 研究への影響: 学術界および科学界における剽窃は、発表論文の撤回、信用損失、更には将来の研究の機会を奪われる可能性があります。
適切な引用方法、正しい言い換え(パラフレージング)、剽窃チェッカーの使用を通して、剽窃を未然に防ぎ、このような状況を回避しましょう。